閉めてはいけない給気口 ― 高気密高断熱住宅で知っておきたいポイント
目次
はじめに
「なんとなく寒さを感じる」「暖房効率が悪い」といったお悩みを抱えていませんか?
見落としがちな「給気口」の使い方が、快適な住まいと省エネ性能に大きく影響します。
1. 給気口、閉めていませんか?
近年の新築住宅では、各部屋に「給気口」が設置されることがほとんどです。
(第1種換気の場合はない場合があります。)
しかし寒さ対策という理由で「給気口を閉めてしまう」方がいらっしゃいます。
実は、給気口を閉めることには大きなデメリットが…
2. 給気口を閉めたときの弊害とは?
まず、法律の観点から:2003年(平成15年)7月1日以降に確認済証が下りた新築住宅には、24時間換気システムの設置が義務化されています。
これは「シックハウス症候群」の防止のため。
給気口を閉めると以下のような弊害が生じる可能性があります:
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窓ガラスや壁に結露が発生しやすくなる → カビ・ダニ発生の原因に。
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室内の二酸化炭素濃度が上昇 → 健康リスクも。
つまり、「寒いから閉める」という選択が、実は住まいの性能と健康を損なうことにつながるのです。
3. 給気口より“窓”からの熱の方が大きい
「給気口を開けていると熱が逃げて寒くなるのでは?」という疑問をお持ちの方も多いかと思います。
ですが、実際のデータでは、熱が逃げる割合は以下のとおり:
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換気による熱損失:約15%
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窓からの熱損失:約58%
つまり、給気口を開けていても、窓を閉めて断熱性能を確保していれば“大きな熱の損失”にはなりにくいのです。
そして、開けて換気を行うことで、室内環境が良好になります。
4. 熱交換型換気扇がおすすめ。
「熱交換型換気扇」の導入がおすすめです。
「換気扇の種類で、換気する時に外の冷たい空気と排気する暖かい室内の空気を…温度を交換する種類の換気扇があります。初期投資はかかりますが、生涯コストで比較すれば、冷暖房費を削減できます。」
つまり、快適さを維持しつつ冷暖房費を抑えることが可能になります。これから新築・リフォームを検討される方には、ぜひ検討していただきたい設備です。
5. 換気回数は0.3回で十分?
法律上は「0.5回/h(2時間で全空気が入れ替わる)」が必要です。
ただし実際には、この数値は目安にすぎず、住まいの気密性能・利用状況・地域気候などによって最適な換気量は変わります。
高気密・高断熱住宅では、換気計画をしっかりと設計段階で決定することが重要です。
6. 「石油ファンヒーターはおすすめできない!」の理由
冬の暖房器具として「石油ファンヒーター」をお使いのご家庭も多いと思います。
しかしながら
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二酸化炭素を含んだ空気が室内に広がる
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水蒸気が発生し、結露・カビ・ダニの原因に。
というデメリットがあります。
石油ファンヒーターではなく、気密・断熱性能を活かしたエアコン+換気システムを検討することをおすすめします。
7. まとめ
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各部屋の「給気口」を閉めるのは、見た目以上にリスクがあります。
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熱損失の大部分は窓から。給気口は開けておきましょう。
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「熱交換型換気扇」「適切な換気回数」「暖房器具の選定」が、高気密・高断熱住宅の快適性と省エネ性能に直結します。
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特にこれから新築・リフォームを検討されている方は、設備・計画換気・暖房方式をもう一度見直してみましょう。



